白鳥の湖について
d-倉庫主催「ダンスがみたい!19 白鳥の湖」が終幕しました。
このタイミングで、「白鳥の湖」について勉強会で共有したことを記しておきます。
「名称未設定」の上演では触れなかったストーリーについても、ざっとまとめておきますね。
白鳥の湖 基本情報
- 作曲:ピョートル・チャイコフスキー / 1876年
- 初演:モスクワ・ボリショイ劇場バレエ団 / 1877年
- 振付・演出・踊り・演奏の未熟さにより大不評→お蔵入り
- 責任を感じたチャイコフスキー、落ち込む
- 改訂・再演の約束をするも果たせず、1893年 チャイコフスキー 没
- 蘇演:サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場バレエ団 / 1895年
- マリウス・プティパ、レフ・イワーノフによる共同振付
- 以降、バレエ「白鳥の湖」はだいたいこのバージョンを参照
- 黒鳥役の降板により、白鳥と黒鳥を同じ人が踊ることに→定番化
- 有名な「黒鳥の32回転」もこの時に 主演:ピエリーナ・レニャーニが始めた
- ダンスがみたい!19 チラシのこの人が、ピエリーナ・レニャーニ

- 日本初演:東京バレエ団(いまの東京バレエ団とは別組織) / 1946年
- 日本初の全幕バレエ上演
- 3つの小さなバレエ団が集まって「東京バレエ団」
- 戦時中に上海バレエ団で活躍した小牧正英が主導で振付
- 舞台美術はなんと藤田嗣治(レオナール・フジタ)
(参考文献 = 白鳥の湖の美学―作品の背景と実践 小倉重夫 / 「白鳥の湖」伝説―小牧正英とバレエの時代 山川三太 )
バレエ「白鳥の湖」のストーリー
主な登場人物
- オデット姫(白鳥)
- ジークフリート王子
- 悪魔ロットバルト(ふくろう)
- オディール(黒鳥)(ロットバルトの娘)
舞台
第一幕 王子の成人お祝いパーティー
- 友人らがお祝いの踊りを披露
- 「名称未設定」で取り上げた「パ・ド・トロワ」はここで踊られる
- 女王(王子の母)が「明日の舞踏会でお嫁さんを決めなさい」と言いつける
- 気乗りしない王子は、気晴らしに狩りへ出かける
第二幕 湖畔
- 狩りをしに湖へやってきた王子
- 白鳥たちが美しい娘に変身するのを目撃
- なかでも一際美しいオデット姫に事情を聴いてみる
- いわく、「悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられてしまった」
- 「まだ恋を知らない者による純粋な愛の誓いによって、その呪いは解ける」とのこと
- 王子、自分がオデット姫に愛を誓って呪いを解くことを約束
- 明日の舞踏会で誓いを立てて迎えにくるから、待っててね!と言い残して去る
第三幕 舞踏会
- 各国の来賓が踊りを披露
- オデット姫にソックリなオディール姫が突如現れ、王子を誘惑
- 王子、うっかりオディール姫に愛を誓ってしまう
- その瞬間、悪魔ロットバルトが正体を現す 「フハハ、かかったな!!」
- 自分の冒した過ちに気づき狼狽する王子、だが時すでに遅し
- 一部始終を覗き見していたオデット姫、泣きながら湖へ帰る
第四幕 湖畔
- 絶望するオデット姫と白鳥たち
- あとを追いかけてきた王子、許しを請う
【ここからルート分岐】
★ バッドエンド ★
- 絶望したオデット姫は湖に身を投げ、王子もあとを追う
- 2人の愛の力で悪魔は滅び、王子とオデット姫は来世で結ばれたそうな…
★ ハッピーエンド ★
※そのほか、いろんなバージョンのエンディングがあります。
ちなみに私は黒鳥の誘惑の踊りが好きです。曲もすてき。
さまざまなアレンジ
今回「ダンスがみたい!19」では、
様々なアーティストにより10通りの「白鳥の湖」が誕生したわけですが
「白鳥の湖」を大胆に再解釈したり
題材として扱う試みは、過去にも多く行われてきました。
なかでも世界的に有名なのが、
マシュー・ボーン「Swan Lake」 (初演:1995)
(これは公式のTVCMですが、探せば全編あがってます…)
私は来日公演を大学生の頃に観て、かなり衝撃を受けました。
ボロ泣きした記憶があります。
音楽はしっかりオーケストラですが、ストーリーもダンスも現代的。
ナイトクラブ?のシーンとか、かなり攻めてるな…!と、改めて驚きました。
映画「Black Swan」(2010)
主演のナタリー・ポートマンはバレリーナ役。
美術と衣装・メイクがオシャレだったので、
どこかのバレエ団の舞台で採用してほしいな…と個人的に思ったりしました。
2017年08月3日 | 学習