宮川さんが「群舞シリーズ」と称して紹介してくれた映像が、
どれもいわゆるダンサブルな「群舞」っぽくはなく、
けれど群舞の良さがしっかり味わえるラインナップでした。
▽ルドルフ・フォン・ラバン
ドキュメンタリー映像です。0:30あたりから群舞シーン。
(再生できないっぽいサムネイルですが、ちゃんと再生できます)
ラバンは舞踊の身体動作を細かく分類し、分析する理論を打ち立てた人
というイメージがあったので、
このなんとも言い難いニュアンスの動きは意外でした。
記述しづらそうな動きを、あえて記述する試みだったのでしょうか。
ラバンは1910年代以降各地に身体運動の研究所・学校を設立し、
マリー・ヴィグマンらを輩出した教育者でもあります。
▽ハラルド・クロイツベルク
これまたドイツの、『パラケルスス』という映画(1943)の中の、ダンスシーン。
まず冒頭のクロイツベルクさんのソロが相当にやばいのですが、
そのやばさがそのまま大勢に伝播して、クレイジーな群舞になっていきます。
正直、かなり怖い!
映画の中に、こんな尖ったダンスを取り入れたということにも驚きです。
▽マギー・マラン「May B」 (初演:1981)
こちらはフランスのコンテンポラリーダンス。
前半40分くらい、ほとんどユニゾン的な群舞が続くのですが、
観ていてちっとも飽きないのが不思議です。
舞踏の影響も感じられるような、
老人(ゾンビ?)を模した身体・メイク・衣装もイカしてます。
複数の人間が同じリズムで同じ動きをする、ということは
単純に観ていて快感があります。
動きの質感が細かなところまで揃っているほど、
非日常性や、奇妙さ、陶酔感が増すような気がします。
そしてその奇妙さは、ダンサブルな振付よりもむしろ
さり気無い日常的な動きの方が際立つのかもしれません。